「 本は『自分らしさ』に気付かせてくれる 」

今回のおススメ本紹介者は経済学部長の橋元秀一教授です。
橋元先生からのメッセージ
本との出会いは、素晴らしい。自分の中に渦巻いている思いや感覚が何であるのかを気づかせてくれたり、自分らしさを自覚させてくれたりするからだ。自分を知ることができ、こうありたいと標を指示してくれる本との出会いは、その後の歩みに深い影響を与えてくれる。私にとってのそうした3冊を紹介する。

タイトル 著者 出版社
草枕 夏目漱石 新潮文庫
日本フォーク私的大全 なぎら健壱 ちくま文庫
「邪馬台国」はなかった 古田 武彦 角川文庫

草枕


橋元先生の一言
「智に動けば角かどが立つ。状に情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。」この冒頭に衝撃を受けた。まだ幼く青い十代に感じていた世の中の理不尽さを見事に言い表していたからだ。自分だけがそう感じていると思い悩んでいたから、この文章に救われた。ではどうすればいいのか、今もこの問題と向き合い、道を探り続けている。

 

日本フォーク私的大全

橋元先生の一言
青年期に多大な影響を受けたフォークソングの歩みとシンガーとの交流を描いた自分史的フォーク史。言葉と音で主張し表現しようともがき求めていた思いは何だったのかを考えさせる。フォークソング史としては、富澤一誠『僕たちの祭りは終わったのか』(飛鳥新社)も優れている。

 

「邪馬台国」はなかった


橋元先生の一言
事実を探求する執念に感動した。常識による解釈に依りかかることなく実証的に考えることにとって大切な姿勢や態度を学んだ。魏誌倭人伝には「邪馬壹国」と書いてあるのに、「邪馬臺国」の誤写と勝手に見なして論じてきた従来説を批判している。